いつでも微笑みを

体を壊してやりたいこともなくなってしまったから、自分が思っていることを伝えたいことをとりとめもなくかいていくよ。

【これもひとつの結末】君を愛したひとりの僕へ/乙野四方字【読書感想】

幼少期や学生時代に触れた物の影響力ってすごく大きい…

 あらすじ

人々が少しだけ違う並行世界間で日常的に揺れ動いていることが実証された世界――
両親の離婚を経て父親と暮らす日高暦(ひだか・こよみ)は、父の勤務する虚質科学研究所で佐藤栞(さとう・しおり)という少女に出会う。
たがいにほのかな恋心を抱くふたりだったが、親同士の再婚話がすべてを一変させた。
もう結ばれないと思い込んだ暦と栞は、兄妹にならない世界に跳ぼうとするが……
彼女がいない世界に意味はなかった。

公式サイトより抜粋

 
感想

 この感想は「僕が愛したすべての君へ」を先に読んでいることが前提になります。
www.ritzberryfields.com

 

 幼少の頃に見たり聞いたりしたものは大人になってからも影響が残るものです。私が本格的なSFを読んだのはゲームでした。昨年PS4とVITAに移植され今なお名作と呼ばれていると言えば察しの良い方なら分かるのかなと。私はそのゲームでSFの基礎みたいなものを学びました。

 僕が愛したすべての君へに比べて「君を愛したひとりの僕へ」はよりSF色が強いと感じました。ですのでSF作品が苦手な人は僕が愛した~から先に読むことをお勧めします。そちらで基礎的な概念を持った上で君を愛した~を読んだ方が理解しやすいからです。

 こちらの作品は両親の離婚後父についていき栞という少女に出会いその子を救うために人生を費やした主人公の話が描かれています。
 人生をかけて栞を救いたい。そんな主人公の一途な気持ちは理解出来るし、そこに向かって一心不乱に努力を重ねていく姿は純粋にすごいと思います。しかしそこだけしか見えていないのは少し残念に思います。人間なのだから悩んだり葛藤したりするんじゃないのかなと。それは僕が愛した~を先に読み、和音と結ばれるひとつの可能性を知っているからなのかもしれません。

 そういうところは自分自身で補完して良い方に捉えるのであれば、それでも主人公は折れずに自身の生涯を全うした。そう考えると主人公の栞へ対する気持ちはとても愛らしい物に感じてきます。

 ここからはあくまでも想像なのですが、このあとお話が続くのであれば主人公は栞を助けるためになんども自分自身の人生を繰り返す事になるのかな。その話のうちの一つが和音との幸せな結末だったり、栞を想ってひたすら研究に没頭する結末だったり。他の並行世界ではまた違った終末を迎えることになる。こんな風に想像するとこの物語がもっと面白く感じられますね。


まとめ

 最後の想像は先に述べたゲームの影響を多分に受けています。というかこの書籍の最後がまさにそのゲームのラストを彷彿させるような終わり方だったためこんな想像に繋がったのかなと。この物語のことを考えれば考えるほど上記に書いたゲームが思い起こされる。あの物語はインパクト強かったんだな…