いつでも微笑みを

体を壊してやりたいこともなくなってしまったから、自分が思っていることを伝えたいことをとりとめもなくかいていくよ。

【それでも君を想い出すから】僕と君だけに聖夜は来ない/藤宮カズキ【読書感想】

「やめてよ……。私に優しくしないで。そんな資格、私にはないんだから。お願い理一、私を傷つけて……。じゃないと私、おかしくなっちゃう」

 あらすじ

「好き」――彼女はそう言って、何度も死ぬ。
12月24日の夜。高校生の理一は、片想いの相手・なつみと結ばれる。しかし喜ぶ間もなく目の前で彼女は命を落とし、気づけば2日前に戻っていて……。「好き」をトリガーに時間が巻き戻ることを知った理一。大好きな彼女の告白を回避しようとするが、どう足掻いてもなつみは告白し、死んでしまって、そしてまた――「好きだよ、理一。君が好き」クリスマスイブに閉じ込められた理一は、繰り返す悲劇を越え、未来を手に出来るのか。
公式サイトより抜粋


感想

 読み終わった瞬間「え。これで終わりなの」と真っ先に思いました。読んでいれば、理一となつみが将来的には幸せになるとだろうと想像はできるのですが、この本の終わりかたではあまりにも読者を突き放しすぎなのではと思わずにはいられません。

 よくありがちなループ物と言ってしまえばそれまでなのですが、キャラクターの個性や心情描写に関しては読んでいて心温まる物がありました。特にヒロインのなつみが非常に可愛らしく描けていて、理一がこの子を好きになり守ってあげたいと思う気持ちは納得です。その気持ちが強くなければ理一は何度もループすることに耐えられなかったと思うし、この物語の根底が崩れてしまうだけに、この要素は重要なポイントではないのかなと。そうでなければ理一は、なつみとこのまま幸せな二日間を繰り返すことに抵抗がなくなり、二人で未来へ行こうとする強い気持ちへ結びついていかなくなってしまうからです。

 ここまでしか書かないとありきたりな物語なのかなと感じるかもしれません。しかしこの物語はそうではなかった。というのもループの抜け出し方が変わっているというか独特なのです。おそらくこの抜け出し方をやりたくてループの起点を「告白されること」に置いたと思います。それ自体は決して悪いことではないですが話の終わり方に問題があり、これで終わりなのかという感想に繋がってしまいます。

 物語の途中には理一となつみが将来的には幸せになるのだろうなと言う容赦がいろいろと出てきます。それだけにループを抜け出した後から二人が幸せになる道程は、読者の想像にお任せしますというのはちょっと放り投げすぎでは無いのかと感じてしまうのです。 この話の流れが決して悪いのでは無いと思います。きちんと二人が幸せになるゴールまであと1冊でいいから続きさえ書いてもらえれば…そう思わずにはいられません。

 まとめ

  ヒロインは可愛いし、主人公の性格に癖も無くむしろ優しいよくできた男のですので読みやすい物語ではないでしょうか。主人公の葛藤や自暴自棄になってしまうところを読むと心がキュッと締め付けられる切ない気持ちになります。それだけにラストのもって行き方には賛否が分かれるところです。作者がこの後のお話はについては読者に委ねるというのであればそれを尊重したいとは思いますが…厳しいことも書きましたが、人を選ぶものの総じて面白い作品ではありました。同人誌でも構わないので書いてくれないかな…