いつでも微笑みを

体を壊してやりたいこともなくなってしまったから、自分が思っていることを伝えたいことをとりとめもなくかいていくよ。

【本当の強さってなんだろう】放課後、君は優しい嘘をつく。/雨野マサキ【読書感想】

「ぶつかって傷つく覚悟がないなら、いつまで経っても心ン中なんて見せてくれないよ」

 

あらすじ

 3年前の飛行機事故により両親を亡くし、また自身の足も不自由になったことで、すっかり心を閉ざしてしまった美しい少年・古賀春一。
 全てを拒絶しながら引きこもる彼のもとに、突如現れたのはクラス委員を名乗る、同級生の彩楓だった。
 その日から週に2日、古賀家に訪れるようになった彩楓は春一に拒まれながらも、懸命に歩み寄っていき――。
 運命が巡り合わせた2人の男女。その真実が解き明かされたとき、涙がとまらない。愛と感動の物語。

公式サイトより抜粋

この作品を三行でまとめると

  •  優しさは強さである

  • 寄り添って共に歩んでいく
  • 幸せになってね

 

感想

 事故で両親を失い、足が不自由になってしまった少年が、同級生の少女に寄り添われながら凍ってしまった心を溶かしていくお話です。

 彩楓の春一に対する接し方に対し、共感させられました。それは彩楓は決して春一に対して強制することが無かった点です。春一は彩楓が来る前からこのままではいけないって気がついていたと思うのです。ですがなかなかきっかけがつかめないまま時を過ごしていた。そんなときに彩楓がやってきて、「このままじゃ駄目だから外へでようよ」なんて言われたら春一はどんなことを思うでしょうか。そんなこと言われなくたってわかってるよって気持ちになると思いませんか。彩楓は何も言わずに春一のペースに付き合ってくれます。文字にするのは簡単ですがこれって大変なことですよね。それを成し遂げる彩楓はただ優しいだけではなくて。根気があり意思の強い人間だなと私は思います。だからこそ春一は彩楓に対して心を開くことが出来たのでしょう。

 これだけだと彩楓ができすぎで所詮フィクションだなと読者はしらけてしまうかもしれません。しかし彩楓が春一を気にかけ根気強く対峙する理由はラストにきちんと書かれていて、きちんと筋が通っています。

 この感想だけ読むと暗い話なのかなと思われてしまいそうですが、作中にかかれるお茶会のシーンがうまく物語のバランスをとっています。登場する脇役がいい味を出していて花を添えていました。

まとめ

 一度植え付けられたトラウマを克服することはなかなか難しいことです。なかなか素直になれないことでしょう。だからこそ手を差し伸べてくれる人がいたらその手を離さないで欲しい。そしてつらいことも二人で共に歩んで欲しい。そんなことを考えさせられるお話でした。お二人とも末永くお幸せに。