いつでも微笑みを

体を壊してやりたいこともなくなってしまったから、自分が思っていることを伝えたいことをとりとめもなくかいていくよ。

【おいしい物は心の清涼剤です】道後温泉 湯築屋 暖簾のむこうは神様のお宿でした/田井ノエル【読書感想】

わかり合う必要なんてない。
でも、わかりあえるなら、わかりあたい。

 あらすじ

道後温泉にたたずむ温泉宿『湯築屋』。古びた宿に見えるが、暖簾を潜ることのできる「お客様」にとっては、居心地がよく、癒しの効果もある、おもてなしの宿であった。なにせ、お客様は神様ばかり。そんな湯築屋の若女将を務める女子高生・湯築九十九。オーナー兼、夫である稲荷神のシロとともに、今日も一生懸命、神様をおもてなし!

公式サイトより抜粋

この作品を三行でまとめると

  • 雰囲気がとてもよい作品

  • お酒と食べ物がすごくおいしそう

  • もう少し気持ちを掘り下げて欲しかった

感想

 どちらかと言えば女性向けのキャラクター文芸でしょうか。私はあまり手に取るタイプの書籍ではないので新鮮な気持ちで読むことが出来ました。

 まずはキャラクターですがみんな可愛いです。きちんと個性もあるので読んでいて退屈しません。九十九とシロのやりとりは特ににやにやしてしまう読者も多いのではないでしょうか。だからこそもう少し二人の気持ちを掘り下げて描ければ、より物語に引き込まれて行けたのかなと思います。

 またこの作品はご当地小説としての側面ももっており、愛媛県の道後温泉の魅力が沢山つまっています。温泉宿の雰囲気がよく描けています。読んでいて温泉宿ってこんなところだよなと情景がしっかり頭の中に浮かんでくる文章は、とても楽しく読むことが出来ます。さらに作中に出てくる食べ物、お酒がとてもおいしそうに描かれているのが個人的にとてもツボでした。私が特に好きなのはお客として宿泊しに来た神様に食べ物とお酒を勧めるシーンです。じゃこ天をあぶって食べる下りはおいしそうで読んでいてたまらないです。さらに登場キャラクターがおいしそうにお酒を飲むのでこれまたたまりません。これだけ描けるということはきっと作者も食べることやお酒を飲むことが大好きなのかなと勝手に想像すると、お話を読むことがさらに楽しくなってきます。私もお酒や食べることは好きなのでこれだけでこの本を読んで良かったなと思いました。

 気持ちを大きく揺さぶったり、すごいギミックという要素は本書にはほとんど有りません。ですがそれを上回る魅力が沢山つまっています。ゆったりと楽しく読書したいという方にはお勧めの一冊ではないでしょうか。

 もしお話の続きがあれば、九十九とシロのより深いお話が読んでみたいです。出るか分かりませんが続き楽しみにしています!